公立大学法人大阪市立大学
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産業廃棄物から得られたセサミノールが パーキンソン病予防に効果があることを解明!

本研究のポイント

 細胞レベルおよび動物レベルでのパーキンソン病疾患モデルを用いて、産業廃棄物として処理される脱脂ゴマから精製されたセサミノールがパーキンソン病予防効果を有することを解明。

概要

 大阪市立大学大学院生活科学研究科の小島明子准教授らの研究グループは、産業廃棄物として処理される脱脂ゴマから精製されたセサミノールが、パーキンソン病予防効果を有することを細胞レベルおよび動物レベルでのパーキンソン病疾患モデルを用いて解明しました。
 まず、細胞を使った実験において、セサミノールが酸化ストレス応答に関与する転写因子Nrf2の核内移行を促進し(図1)、細胞内活性酸素種産生量を減少させることによって、6-hydroxydopamine (6-OHDA) 誘導性神経細胞障害に対する保護効果を有することを明らかにしました(図2)。

図1:セサミノールが酸化ストレス応答に関与する<br/>転写因子Nrf2の核内移行を促進
図1:セサミノールが酸化ストレス応答に関与する
転写因子Nrf2の核内移行を促進
図2:神経細胞の活性酸素種産生量
図2:神経細胞の活性酸素種産生量

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? 次に、ロテノン(マウスに投与するとパーキンソン病発症の原因となる)を経口投与することによって作製したin vivo パーキンソン病モデルマウスにセサミノールを含む試験食を36日間摂食させて、ローターロッド試験(図3)により運動能力および腸管運動機能を測定したところ、ロテノンにより有意に低下した運動能力および腸管運動機能が、セサミノールによって有意に改善することが明らかになりました(図4)。

   図3:ローターロッド試験
   図3:ローターロッド試験
図4:マウスのロッド滞在時間比較
図4:マウスのロッド滞在時間比較

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 また、神経細胞障害のマーカーであるα-シヌクレインの中脳黒質での発現数は、セサミノールの摂食によって低下することを見出しました。一方、黒質におけるドーパミン合成の律速酵素であるTyrosine hydroxylase (TH)発現について調べたところ、ロテノン投与群のTH陽性ドーパミン作動性神経細胞数は減少しましたが、セサミノールを摂食させると、 TH陽性ドーパミン作動性神経細胞数が増加する傾向が認められました(図5)。

図5:マウスの中脳黒質における<br/>Tyrosine hydroxylase (TH)の発現
図5:マウスの中脳黒質における
Tyrosine hydroxylase (TH)の発現

期待される効果

 パーキンソン病は、中脳黒質に存在するドーパミン産生神経細胞の変性?脱落によって脳内ドーパミン量が不足し、運動障害が進行する神経変性疾患です。発症原因や治療法などはいまだ解明されておらず、治療法および予防法の確立は重要な課題となっています。
 本研究成果によって、セサミノールの新しい生理作用としてパーキンソン病予防効果が見出され、実用化への応用が期待されます。

掲載雑誌情報

発表雑誌:Heliyon 6 (2020) e05342
論文名:Sesaminol prevents Parkinson’s disease by activating the Nrf2-ARE signaling pathway
著者:Haruka Kaji, Isao Matsui-Yuasa, Kayo Matsumoto, Ayano Omura, Kunio Kiyomoto, Akiko Kojima-Yuasa*
論文URL:https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2020.e05342

資金?特許等について

科学研究費補助金基盤(C)(15K00832、20K11626)
特許(特願2018-161744)出願済み