公立大学法人大阪市立大学
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日本発の簡便なアンケート形式によるフレイル評価 “基本チェックリスト”によるフレイルの評価が「経カテーテル大動脈弁留置術」後の治療方針決定の一助に

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本研究のポイント

◇これまで介護などで使われていた日本発「基本チェックリスト」は、25問の「はい/いいえ」で回答するアンケート形式のため非常に簡便。
◇この基本チェックリストにより算出したフレイルの指標は、従来のフレイルの指標と比較し同等であり、 経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後3年の死亡の独立した因子と判明。
◇リハビリや治療への介入、予後の予測や改善につながる可能性。

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 循環器内科学の呉 裕介(くれ ゆうすけ)大学院生、岡井 主(おかい つかさ)病院講師、泉家 康宏(いずみや やすひろ)准教授らの研究グループは、TAVI施術者に対する基本チェックリストによるフレイルの評価が経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後3年の総死亡の予測因子として有用であることを明らかにしました。
 本研究成果により、基本チェックリストがフレイルを簡便かつ客観的に評価し、適切な治療方針の決定に役立つと期待できます。
 フレイルの指標とTAVIとの関連性はこれまでに報告されていますが、それらの指標は検査を多く要するものや、簡便であっても客観性に欠けるものがあります。
 今回、本研究グループは、2016年1月から2020年12月に本学医学部附属病院でTAVIを施行した280例を対象とし、従来のフレイルの指標に加えて基本チェックリストによるフレイルの評価を行いました。その結果、基本チェックリストにより算出したフレイルの指標は、従来のフレイルの指標と比較し同等であり、生存時間分析でTAVI後3年の死亡の独立した因子であることが分かりました。また、基本チェックリストの総スコア(25点満点)で3群に分類して解析したところ、フレイル群(13~25点)でTAVI後3年の死亡が有意に高いことが分かりました。
 本研究は『Journal of Cardiology』の2022年2月号(IF = 3.159)に掲載されました。

補足説明

経カテーテル大動脈弁留置術:カテーテルを使って傷んだ大動脈弁に人工弁を留置する治療。

研究者からのコメント


岡井 主病院講師

 大動脈弁狭窄症は、心臓弁膜症の一つで高齢化社会において年々増加しています。それに伴い心臓弁膜症の低侵襲治療であるカテーテル治療も増加しています。治療前の運動機能や脆弱性いわゆるフレイルを適切に評価することが重要で、その評価方法の一つとしてアンケート形式の基本チェックリストがあります。本研究の成果によって、フレイルを簡便かつ正確に評価し、適切な治療方針の決定の一助となると考えています。


呉 裕介大学院生

掲載誌情報

雑誌名:

Journal of Cardiology(IF = 3.159)

論文名:

Kihon checklist is useful for predicting outcomes in patients undergoing transcatheter aortic valve implantation

著者:

呉 裕介、岡井 主、泉家 康宏、清水 将史、八尋 亮介、山口 智大、小川 真奈

岸本 憲明、柴田 敦、伊藤 朝広、高橋 洋介、江原 省一、柴田 利彦、葭山 稔

掲載URL:

https://www.journal-of-cardiology.com/article/S0914-5087%2821%2900254-9/fulltext